Production
リサイクル樹脂(リサイクルプラスチック)とは、廃プラスチックを原料に新たな製品として再生されたプラスチックのことです。
廃プラスチックのソースには、一般家庭などから出る「PCR(post-consumer recycle)材」と工場などの製品製造工程から出る「PIR(post-industrial recycle)材」の2種類があります。PIR(ポストインダストリアルリサイクル)については、JIS Q 14021 (ISO 14021)ではプレコンシューマリサイクルとも呼ばれます。
大誠樹脂ではいずれのプラスチックも回収し、粉砕・異物除去・配合・製造などの工程を経て再原料化(マテリアルリサイクル、材料リサイクル)したうえで、販売先様に提供しています。
リサイクル樹脂には、再原料化できるプラスチックの種類が決まっています。代表的な樹脂の種類と身近な用途を紹介します。
プラスチック材料のなかで、最も密度の低い素材です。
世界で最も生産量の多いプラスチック素材です。
スチロール樹脂ともいわれ、安価で加工しやすいのが特徴です。
ペットボトルや衣服の原料になる素材です。
再資源化されたリサイクル樹脂を活用することで、廃棄物の削減や環境負荷の低減、資源の有効活用など、さまざまなメリットを享受できます。
リサイクル樹脂を活用する主なメリットを紹介します。
従来、焼却や埋め立てなどで処分していた一部の廃プラスチックを、リサイクル樹脂として再資源化することで、廃棄処分されるごみの削減につながります。 また、廃プラスチックを排出する企業からみると、年々高くなる処理費用を抑えることにもつながり、廃棄にかかるコスト負担を軽減できます。
リサイクル樹脂として再活用する廃プラスチックが増えると、焼却処分の際などに生じる二酸化炭素の排出量を抑えられます。また、廃プラスチックのリサイクル方法には、焼却時の熱を再利用する「サーマルリサイクル」もありますが、この場合も二酸化炭素の排出につながります。
マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルによって再資源化したほうが、二酸化炭素の排出量を削減できるのです。
新しいプラスチックを生産するには、原油などの天然資源が必要です。しかし、天然資源には限りがあるため、枯渇すればプラスチックの生産量も減ってしまいます。
リサイクル樹脂は廃プラスチックを原料にするため、限りある資源を守ることにもつながります。また、天然資源を輸入に頼る日本では、廃プラスチックという自国の資源を活用することで、過剰な輸入依存からの脱却も図れます。
環境への意識の高まりや規制の厳格化などにより、限りある資源を有効活用しようとリサイクル樹脂を活用する企業が増えています。
その一方で、廃プラスチックのリサイクルにはいくつかの課題があることも事実です。
日本で排出される廃プラスチックの総量は、年間で約823万トン(2022年)。このうち、再資源化されるマテリアルリサイクルの量は180万トン、ケミカルリサイクル量は28万トンです。この量は年々増加傾向にありますが、それでも全体の25%程度に過ぎません。日本ではサーマルリサイクルの割合が約62%(510万トン)と、欧米諸国と比べて焼却処理される廃プラスチックが非常に多いという実態があるのです。
また、マテリアルリサイクルに関しては海外に輸出して再資源化するケースが多く、国内で再資源化されたリサイクル樹脂は少ないという実態もあります。こうしたなかで、廃プラスチックの多くを受け入れていた中国が2018年に規制を強化し、原則として輸入禁止に。日本で排出される廃プラスチックは、日本で処理しなければならない状況に迫られています。
持続可能な社会をめざすには、日本でもマテリアルリサイクルする廃プラスチックを増やしていかなければなりません。いまこそ、日本の優れたリサイクル技術が求められる時代なのです。
※参考:一般社団法人 プラスチック循環利用協会「プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況」
大誠樹脂は、1963年(昭和38年)の創業から60年以上にわたり、廃プラスチックのリサイクルに向き合う事業を通じて、資源の有効活用や二酸化炭素排出量の削減に貢献してまいりました。
当社は、埼玉県の熊谷、兵庫県の上郡にメイン工場を設置。月産4,000トンのリサイクル樹脂を生産しています。また、品質管理部門を強化し、品質管理システムも構築。質・量の両面から、お取引先様のあらゆるニーズにお応えできる体制を整えています。